筋肥大には高重量低回数がいいのか、軽重量高回数がいいのか?最新科学が導く答え
筋トレを始めると必ず直面する疑問、それが「筋肥大には高重量低回数と軽重量高回数、どちらが効果的なのか?」という問いです。ジムでは「筋肥大には8-12回が最適」と言われる一方、「軽い重量でも限界まで追い込めば同じ」という意見も耳にします。
この論争に対して、2024年までの最新研究は驚くべき結論を示しています。本記事では、科学的エビデンスに基づいて、この永遠のテーマに答えを出します。
従来の常識「レップレンジの法則」
長年、筋トレ界では以下のような常識が信じられてきました:
- 高重量低回数(1-5回):筋力向上に最適
- 中重量中回数(6-12回):筋肥大に最適
- 軽重量高回数(15回以上):筋持久力向上に最適
この考え方は「レップレンジの法則」として広く受け入れられ、多くのトレーニングプログラムの基礎となってきました。しかし、近年の研究はこの常識を覆しつつあります。
衝撃的な研究結果:重量は筋肥大に決定的ではない
2017年の画期的なメタアナリシス
Schoenfeldらによる2017年の系統的レビューとメタアナリシスは、筋トレ界に衝撃を与えました。この研究では、60%1RM以下の低負荷トレーニングと60%1RM以上の高負荷トレーニングを比較したところ、筋肥大の増加量に有意差は認められませんでした。
つまり、30%1RMの軽重量でも80%1RMの高重量でも、適切に行えば同程度の筋肥大が得られるということです。
筋繊維レベルでも同様の結果
より詳細な研究では、筋生検を用いて筋繊維レベルでの変化も調査されています。2020年のメタアナリシスによると:
- タイプI筋繊維(遅筋)の肥大:低負荷 vs 高負荷で有意差なし
- タイプII筋繊維(速筋)の肥大:低負荷 vs 高負荷で有意差なし
この結果は、重量の違いが速筋と遅筋で異なる影響を与えるという従来の仮説も否定するものでした。
なぜ軽重量でも筋肥大が起きるのか?
ヘネマンのサイズ原理
その答えは「ヘネマンのサイズ原理」にあります。筋肉を収縮させる際、運動単位(モーターユニット)は小さいものから順番に動員されます:
- 軽い負荷では:最初は低閾値の運動単位(タイプI筋繊維)のみが活動
- 疲労が進むと:徐々に高閾値の運動単位(タイプII筋繊維)が動員される
- 限界まで追い込むと:最終的にすべての運動単位が動員される
高重量トレーニングでは最初からすべての運動単位が動員されますが、軽重量でも限界まで追い込めば、結果的に同じようにすべての筋繊維が刺激を受けるのです。
重要な条件:「限界まで追い込む」こと
ここで最も重要なポイントがあります。軽重量でも高重量と同じ効果を得るには、セットを限界近くまで、またはオールアウトまで行う必要があるということです。
2024年の最新研究:必ずしも限界までいかなくても良い?
しかし、2024年の研究は新たな知見をもたらしました。トレーニング経験者を対象にした研究では:
- 片脚を限界までトレーニング
- もう片脚を限界の1-2回手前までトレーニング
結果、両方の脚で同程度の筋肥大が観察されました。これは、必ずしも完全な限界まで追い込む必要はなく、「あと1-2回で限界」という強度でも十分な効果が得られることを示しています。
ただし、これは週10-17セットという十分なトレーニングボリュームがあった場合の話です。低ボリュームの場合は、限界まで追い込むことで若干の優位性が見られました。
筋力向上では高重量が優位
重要な点として、筋力向上に関しては高重量トレーニングが明確に優位です。複数の研究で、高負荷トレーニングは1RMの向上率が20-30%と、低負荷トレーニングよりも大きな効果を示しました。
これは、筋力が単なる筋肉の大きさだけでなく、神経系の適応にも大きく依存するためです。高重量を扱うことで:
- より多くの運動単位の同時動員
- 発火頻度の向上
- 筋間協調性の改善
などの神経適応が促進されます。
トレーニングボリュームの重要性
2024年の最も包括的な分析によると、筋肥大には総トレーニングボリュームが極めて重要という結論が出ています。
週あたりの推奨セット数
- 初心者:各筋群あたり週5-10セット
- 上級者:各筋群あたり週10-20セット
2017年のメタアナリシスでは、週あたりのセット数を増やすほど筋肥大効果が高まる用量反応関係が示されています:
- 5セット未満 < 5-9セット < 10セット以上
ただし、無制限に増やせばいいわけではなく、個人の回復能力に応じた適切な範囲があります。
初心者と上級者で異なる最適アプローチ
初心者の場合
初心者は筋肉や神経系が刺激に対して非常に感受性が高いため:
- 重量設定:8-12回で限界になる重量(60-75% 1RM程度)
- セット数:各種目2-3セット、週5-10セット
- 進捗方法:毎回または毎週、重量か回数を増やす
初心者では、高重量でも軽重量でも筋肥大効果に大きな差は出ません。まずは正しいフォームの習得と、漸進的な負荷増加に集中すべきです。
上級者の場合
トレーニング経験が長くなると、筋肉が刺激に慣れてしまうため:
- 重量設定:6-12回中心(60-85% 1RM)+ 時々1-5回の高重量
- セット数:各筋群あたり週10-20セット
- 進捗方法:月単位で重量更新、普段は回数・セット増でボリューム確保
上級者では、ボリュームを増やす戦略が重量を増やすよりも効果的な場合が多いという研究結果があります。定期的に高重量にも挑戦しつつ、基本は十分なボリュームを確保することが重要です。
2024年研究:可動域の新常識
2024年の大規模研究(約300名参加)は、可動域に関しても興味深い結果を示しました:
- フルレンジ vs ストレッチポジションでのパーシャルレンジ
- 結果:同程度の筋肥大効果
従来は「フルレンジが最良」とされていましたが、筋肉が伸ばされた状態でのパーシャルレップも同等の効果があることが判明しました。
実践的なプログラム例
初心者向け(週3回全身トレーニング)
Day 1
- スクワット:3セット × 8-10回
- ベンチプレス:3セット × 8-10回
- ラットプルダウン:3セット × 8-12回
- ショルダープレス:2セット × 10回
Day 3
- デッドリフト:2セット × 6-8回
- インクラインダンベルプレス:3セット × 10回
- シーテッドロー:3セット × 10回
- サイドレイズ:2セット × 12回
上級者向け(週4回上下分割)
Day 1: 上半身(高強度)
- ベンチプレス:4セット × 5-6回(高重量)
- オーバーヘッドプレス:3セット × 8回
- ペンデュレイロウ:3セット × 8回
Day 2: 下半身(高強度)
- バックスクワット:4セット × 5-6回(高重量)
- ルーマニアンデッドリフト:3セット × 8回
- レッグプレス:3セット × 10回
Day 4: 上半身(中強度・高ボリューム)
- 懸垂:3セット × 8-12回
- ダンベルローイング:3セット × 10回
- インクラインベンチプレス:3セット × 8-10回
Day 5: 下半身(中強度・高ボリューム)
- デッドリフト:3セット × 5回
- ブルガリアンスクワット:3セット × 10回
- レッグプレス:3セット × 12回
結論:どちらも正解、目的に応じて使い分けよう
最新の科学的エビデンスから導かれる結論は明確です:
筋肥大に関して
✅ 高重量でも軽重量でも同等の効果が得られる ✅ 重要なのは限界近くまで追い込むこと(ただし完全な限界でなくてもOK) ✅ 総トレーニングボリュームが最も重要 ✅ 初心者は中重量(8-12回)から始めるのが安全で効率的 ✅ 上級者はボリュームを増やしつつ、定期的に高重量も取り入れる
筋力向上に関して
✅ 高重量低回数が明確に優位 ✅ 神経系の適応には高負荷が必要
実践のポイント
- 自分のレベルに合った重量とボリュームから始める
- フォームを崩さない範囲で徐々に負荷を増やす
- 週10-20セットを目安にボリュームを確保
- 限界の1-2回手前まで追い込めば十分
- 適切な休養と栄養補給を忘れずに
「高重量 vs 軽重量」という二元論ではなく、両方を目的に応じて使い分けることが、最も効率的で安全なアプローチと言えるでしょう。怪我のリスクや関節への負担を考慮しながら、自分に合ったトレーニング戦略を見つけてください。
筋肉は正直です。科学に基づいた適切なトレーニングと継続的な努力で、理想の体を手に入れましょう!
これはCTAサンプルです。
内容を編集するか削除してください。

